「世の中ことすべて子供相撲の相手になって負けて喜ばせる心構えでおれば、腹の立つことはございますまい」黒住宗忠
戻ろう、懐かしき大和に!
小生の団塊世代は生まれてから絶えず「負けるな、負けるな」の大合唱の中で育ってきました。
敗戦直後に生を享けた宿命のため日米戦争では完璧に負けたが、生き抜く上に生活上の戦いは「絶対負けるな!」の雰囲気が満ち満ちていました。
団塊世代の年間出生数は約250万人であり猛烈な競争世代です。令和6年はとうとう70万人を切りました。激烈な大学入試、旺文社のラジオ講座、全国模擬テスト、我が家の家計から公立に絞り必死に勉強したものです。
世の中は凄まじい競争でした。忘れられない記憶は以前見たNHKのアーカイブです。敗戦直後の昭和23年頃の日本橋周辺でしょうか。
多くの人々が全員狂ったように職場に向かい、走り去って行くサラリーマン集団の恐るべき映像が放映されていました。今では信じられないような世の空気です。「何であんなに皆懸命に職場に走るの?」と唖然として眺めるような不思議な光景でした。
皆必死に負けないように走って職場に向かわざるをえない程、異様な屈折した社会雰囲気だったのです。民衆の抑えられたエネルギーの爆発現象でした。
敗戦という事実が如何に人々に決定的大影響を与たのか考えさせられます。和を尊ぶ我が民族が世界から高度成長期にエコノミックアニマルと蔑み(さげすみ)呼ばれたものです。
米国進駐軍から押しつけられた音楽、スクリーン、セックス、唯物的思考が世に満ち溢れ、尊き霊性は非科学的陰謀論とされ片隅に置き捨てられました。国民の大半が我利我利(ガリガリ)のお金亡者、西洋崇拝主義者になり今尚健在です。
それから少し落ち着いてきた平成、令和になっても、学生のスポーツ、かるた、ダンス、料理、工芸等の全分野でも優勝できなかったら、オイオイと泣き又さめざめと悔し涙を流す姿が世にも美しい感動映像として、戦後80年間どれだけ膨大に流されてきたことだろう。
国民はその映像を見て新たな涙を誘われ、共感に浸るのです。相手の苦境に自然に同調できる日本人の実に優しい心根でもあります。
「次に優勝を目指して頑張るぞ! 負けるな臥薪嘗胆! 勝つことだけが美酒を味わえる!」相手に勝つこと、敵を倒すことが至上命令だった。
しかし時代はガチガチの根性論から次第に変わろうとしている。「もっと自由に楽しくのびのび競技しよう。相手の長所があれば褒め称えよう。互いに健闘し合いベストを尽くせばいいんだ」
眉間にしわを寄せ険しい形相でしごき叩く勝負より、笑顔でリラックスして競技する「風の時代」に入りました。すべて和合です。世界はギスギスした戦い気分より柔らかい和合ムードに向かって大きく舵を切って進みつつあります。
心の霊性を見直す機運も一部ですが、確かに少しづつ見直されてきています。
日本が先頭になり世界を和をもってリードする新たな地球の始まりです。相手に一歩譲り喜んでもらえば、すべて調和します。個人も国も宗忠さんの言われるとおりです。
今まで米国の植民地でしたのでしばらくは日本を取り戻すために自国ファーストでいきますが、いづれ大和(たいわ・やまと)精神を世界に発揮するものと期待します。
大和心こそは縄文からの日本人になじみ深く、連綿と続いた日本人の独自遺伝子ミームです。
戻ろう、懐かしき心のふるさと大和に!